成人式はお金がかかる
「考える猫」さんのエントリ「成人式やめれば?」にインスパイヤされ、思うところを書くことにした。
成人式、いらない。
招待状の作成・郵送費、会場使用料、首長を含めた自治体職員の給与、記念品代、記念写真の撮影・現像代と送料、アトラクション用の著名人のギャランティ、「二次会」の飲食費-などなど、いろんなことにお金がかかっている。小さい自治体でも百万円はかかるし、大きな市ならかなりの金額になる。
新成人の同窓会兼カップリングパーティーのために行政がここまでお金を出さなければいけない理由は、ないと思う。新成人にとっては一生の思い出になるかもしれないが、プライスレスではない。三位一体改革による地方財政の悪化でどこの自治体も行財政改革に頭を悩ましている中、行政主体でなければ開けないわけでない成人式を続けるのは、なんでだろう。いくら成人式だって、必要のない袖は振ってはいけない。
二十歳になる人たちは、大勢で集まって再会を喜び、あるいは新しい出会いに胸をときめかせるきっかけがあれば、それでいい。一番の欲求を満たしてあげればまず合格だ。
会場は、買い手が付かない吹きさらしの自治体所有地。セレモニーは何もなし。堅苦しい首長の祝辞や、名前を聞いたことのない議会議長のお言葉を聞く必要もない。
新成人の誓いは、全員で「1、2、3、ダァーッ!」と斉唱すると気分がいい。
アトラクションは「クラスで一番おもろいヤツ」がビールケースの上に立ち、ビートたけしやルパン三世、森進一のものまねをすれば確実に盛り上がる。
飲み物は、自治体がペプシの自販機を何台か借りて置いておく。もう大人なんだからジュース代くらい払えるでしょ。小銭は税収とする。食べ物は、ポテトチップスとプリンを支給する。
記念品は、思い出を記録するための使い捨てカメラ(ISO100、フラッシュなし。室内や夜間では撮影ができず使い勝手にやや難あり)と飲み食いしたものを入れるための自治体指定ゴミ袋。さらに、解散後の「オーバーラン」を防ぐだけでなく財布に入れて金運を招くこともできる避妊具と、自治体が経営する施設の入場割引券も大盤振る舞い。
経費を大幅に削減するだけでなく、大人とはいえまだまだ未熟な彼らのアフターケアもできてしまう妙案だと思う。「こんなの成人式じゃねえよ」「出てもほとんど意味ないじゃん」と参加者が減れば、さらにコストが削減できる。ソフトランディングでもある。いい。
「あ、新聞記者来てるぞ、マスコミ!」「マジ? ○○ならうちも取ってるぜ」「俺たち新聞に載るんだぜ!」「俺たちの写真載るぜ! 絶対一面だよ、イチメン!」「新聞デビューかよ!」「目のとこに横線入るぜ。少年Aって感じでさ」「あは、チョーうける!」「ねえねえ俺たちのこと撮ってよ! 期待の新成人って感じで!」「彼女ボシューとかって書いてもらおうぜ」「マジ最高!」
成人式の取材では、余計なことを考えないようにしている。CMの川原亜矢子の口調で「あなたにはその価値がないから」と優しく告げたい、とも考えず、渋谷の交差点を歩くかのように彼らの隙間を通り抜ける。僕は何も聞いていない。
首長の祝辞と新成人の誓いの言葉をメモし、いくつかのシチュエーションで写真を撮る。休憩時間に何人かに抱負を聞く。これでいい。特異事項がないのなら、成人式そのものは風物詩に過ぎない。「開かれた」事実だけで十分だ。
ちなみに僕は、成人式に出席しなかった。大学で実家から遠く離れていたし、小学校から高校まで隣の自治体に通っていたから、自分の自治体にほとんど友だちがいなかったから。
あの日はたしか、アルバイトをしていた。何も得るものはないと思っていた式典と、金にも経験にもなるバイトとどちらを選ぶか、なんて考えるまでもなかった。
出なくて正解だった。バイトの経験は現在の仕事に多く結び付き、今は仕事を通じて「成人式ってやっぱしょうもないんだな」と確かめることができる。でも、できることならもう再確認したくない。お腹いっぱいです。
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コメント
最近は気が合うのでしょうか(笑)
>「あなたにはその価値がないから」
笑いました。私もつぶやきたい。数年前、喧騒の中で取材した時は「晴れ着を来た猿ども」と心の中で抹殺していました。半ば本気で。恥ずかしい話ですけど、弊社は目新しいことがなくても毎年見開きで特集やるんですよ。今年はカラーにもならず、いったい何のためか理解不能でした。
投稿: fugaku38 | 2006.01.10 21:28