「常識破り」の記事の書き方
メディアにはスクープの「抜き抜かれ」が存在する。
ある新聞の朝刊の一面か社会面に「~であることが○日、分かった」とデカデカと載っていると、別の新聞では同じ内容の記事が、夕刊に控えめに載る。メディアには変な意識があって、他社に抜かれたニュースは、抜いた社よりも必ず小さく扱う。いかにニュース性が高い、としてもそうなる。よそに出し抜かれるのは、屈辱以外の何物でもないのだ。
だから、同業他社が報じたことでニュースが明らかになったとしても、たとえば毎日新聞が「○日に朝日新聞が報じた」などと、ライバル社の名を明らかにすることは、まずない。どうしても抜いた社の存在を避けられない場合は、「~とする一部報道について」という書き方でお茶を濁す。
そんな「常識」があるだけに、次の読売新聞の記事には衝撃を受けた。強調部は僕によるもの。
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塩崎官房長官にも事務所費疑惑報道、長官は否定
共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が、塩崎官房長官の政治団体の事務所費に疑惑があると報じることが明らかになり、塩崎氏は20日、首相官邸で記者団に「政治資金規正法にのっとって適正に処理している」と述べ、疑惑を否定した。
22日付の同紙日曜版や政治資金収支報告書によると、塩崎氏が支部長を務める「自民党愛媛県第一選挙区支部」と「塩崎恭久後援会」は、松山市内の同一のビルに事務所を置き、2005年分の政治資金収支報告書に事務所費計約2100万円を計上している。だが、家賃や電話代などの経費は計約770万円で、残る約1330万円について「どこに消えたのか」と指摘している。
これに対し、塩崎氏は「松山の後援会事務所と議員会館、東京にもう一つ連絡事務所があり、(支出は)この三つを合わせたものだ」と反論した。
民主党の小沢代表は20日、鹿児島県龍郷町で記者団に「閣僚は問題が指摘された以上、(詳細を)公表すべきだ。説明できないというなら、職を辞する以外にない」と批判した。
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これほど素直な「後追い」記事を見たのは、8年ぶり。月刊誌「噂の真相」が東京高検検事長(当時)の女性スキャンダルを報じた際、朝日新聞が同誌の発売に合わせて「『噂の真相』によると」と一面トップで扱った、という出来事以来だろう。
一般紙は、一般紙や放送以外のメディアを同等とみなそうとしないフシがある。特に雑誌や機関紙の類には顕著で、よほど深刻な話題でない限り、後追いすることなどない。扱ったとしても、せいぜい二、三面か政治面でこっそりとベタ扱いだ。それだけに、スキャンダラスな月刊誌の記事を「一流紙」が事実上の引用をしたことは、メディアではとても大きな話題になった。
で、今回の読売。素知らぬ顔をして後で「○日までに分かった」と報じるのが「常識」だろうに、「赤旗」を記事の主語にしてまでこのニュースを取り上げた。普段なら、会見を受けて他社が書きそうだと察知しても、デスクなどから「赤旗なんかほっとけ!」と一蹴されそうなのに…。
「すげえ!」と胸がすく思いを抱く一方、「なんでまた」という疑問が膨らむ。発行部数ナンバーワンの巨大メディアがいわば新聞社としてのメンツを引っ込めてまで、退潮傾向の野党の機関紙を素直になぞった理由は、いったい何なのか。
いくつか僕が読み取った点がある。
まず一点。「赤旗によると」という表現で保険をかけているものの、読売は赤旗の報道内容について確度がきわめて高い、と判断していること。
二点目。読売は、保革という枠組みを意識するよりも、この問題を報道することを重要と判断した、ということ。
三点目。これまで閣僚たちが「法に基づいている」と言い続けてきた事務所費問題について、読売は「適切でない」と明確に判断している、ということ。言い換えれば、この種の問題については、農相などすでに明らかになっているものだけでなく、今後明らかになるものも厳しい姿勢で報道する、ということ。「幕引きに応じるつもりはないし、これからもどんどんやるぞ」という強い意思とも言える。
さて、選挙戦はもうすぐ中盤に差し掛かる。「与党過半数割れも」という観測を報じたばかりの読売がとった「想定外」のスタンス。あと一週間ちょっとの間に、さらに輪郭が見えてくるかもしれない。
参考までに、朝毎読や共同が「赤旗」と明記する一方、産経はセオリー通りにさらっと書いている。本来はこれが「常識」だが、今回は産経が例外になった。
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塩崎官房長官、事務所費問題で反論
塩崎恭久官房長官は20日、首相官邸で記者団に対し、一部報道で自らの後援会などの事務所費に多額の「使途不明金」があると報じられたことについて、「他の国会議員と(比べて)、そんなに変わったような数字ではない」と反論した。
塩崎氏は、地元の愛媛県松山市と東京都内、衆院議員会館に事務所があり、その合計額を「政治資金規正法にのとって適正に処理している」と説明した。
これに対して、民主党の小沢一郎代表は同日、遊説先の鹿児島県・奄美大島で記者団に対し、「問題が指摘された以上は(領収書など細目を)公開すべきだ。説明がどうしてもできないなら、職を辞する以外にないと思う」と述べた。
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» だれが政治資金を負担するのが理想か? [罵愚と話そう「日本からの発言」]
リリーフ登板したばかりの若林農水相にまた疑惑が浮かんだ。農水省の補助金を受けている団体の代表が個人献金していたという。どういうかたちであれ、疑惑は解明されなくてはいけないし、これが政界浄化の一助になれば、それはそれでいいことだというタテマエ論が印象の最初。利害関係のまったくない政治家に、はたして政治資金を寄付する国民がいるものだろうかの疑問がふたつめ。この政治的停滞の状況を、もっとも歓迎して、漁夫の利を獲得したのは誰だろうか?の想像がみっつめの印象だ。
いずれにしても、閣僚交代劇の回...... [続きを読む]
受信: 2007.09.08 05:59
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